情報通信技術・インターネット(発信者情報開示請求を含む)

【このような方へ】
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SNSや掲示板・口コミサイトで、会社名や個人名を挙げた中傷・なりすましを書かれている
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自社サイト・アプリ・クラウドサービスの利用規約や個人情報の扱いに不安がある
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無断転載・ロゴの無断使用・まとめサイトによるコンテンツの流用などに悩んでいる
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新しいITサービス・サブスク・オンライン事業の法的な整理をしたい
当事務所では、インターネット・情報通信技術に関連する法的問題について、
発信者情報開示請求から、規約・ポリシー整備、新サービスの法的検討まで幅広く対応しています。
1 リスクの入り口
インターネット・情報通信技術(Information and Communication Technology/ICT)は、
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新しいビジネスモデルの創出
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営業・広告・採用の効率化
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テレワーク・オンライン会議など働き方の多様化
に大きく貢献し、企業活動・個人の生活を大きく変えています。
一方で、
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SNSや掲示板での誹謗中傷・風評被害
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無断転載・著作権侵害・ブランド毀損
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個人情報・顧客情報の漏えい
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業務用システム・クラウドサービスの契約トラブル
など、インターネット・ICTの利便性がそのまま法的リスクの入り口になっている側面も否定できません。
2 SNS・インターネット上で起こりやすいトラブル
会員制サービスやSNS(Social Networking Service)は、
顧客とのコミュニケーション・情報発信の場として欠かせない存在になりました。
しかし同時に、次のようなトラブルも増えています。
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会社名・店舗名・商品名を挙げた悪質な口コミ・投稿
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経営者や従業員といった個人に対する誹謗中傷・プライバシー侵害
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顧客リスト・社内資料の無断持ち出しや、クラウド上での不適切な共有
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他社コンテンツ・画像・ロゴ等の無断利用による著作権・商標権侵害
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従業員のSNS利用が原因で起きた炎上・レピュテーション悪化
これらの問題は、放置しておいても自然に収まらない場合が多く、
一方で、何でもすぐに削除・発信者特定ができるわけでもありません。
法律や裁判例にもとづき、
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どこまでが違法な投稿と言えるのか
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削除請求や発信者情報開示請求ができるか
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会社としてどこまで対応・説明すべきか
を整理することが重要です。
3 自由と規制が複雑に絡み合う領域
インターネットの世界では、
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表現の自由・通信の秘密
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プライバシー権・個人情報保護
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著作権・商標権などの知的財産権
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プラットフォーム事業者の利用規約・ガイドライン
といった複数の権利・ルールが複雑に絡み合っています。
技術の発展により、情報収集そのものは容易になりましたが、
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インターネット上にある膨大な情報の中から、何が法的に正しいのかを見極めること
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自社のとるべき対応の「落としどころ」を判断すること
は、必ずしも簡単ではありません。
「どこまでできるのか」「どこから先はできないのか」を明確にしないまま動くのは、
それなりに危険を伴う行為です。
4 弁護士に相談してできること・できないことを切り分ける意義
ICT・インターネットの問題について弁護士に相談することで、
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どの投稿・行為が、名誉毀損・プライバシー侵害・著作権侵害等に当たりうるか
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削除請求・発信者情報開示請求・損害賠償請求など、法的に取りうる手段とその限界
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会社として公式にコメント・謝罪すべきか、静観すべきか
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社内のガイドライン・SNSポリシーをどう整備すべきか
といった点を整理することができます。
その結果、
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「感情的には許せないが、法的な手段は取りづらい」ケースと
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「法的手段を取ることで、一定の是正・抑止が期待できる」ケース
を区別できるようになり、合理的な対応を選びやすくなります。
5 発信者情報開示請求について
インターネット上の誹謗中傷や違法な投稿に対して、
投稿者(発信者)に損害賠償や投稿の削除を求めようとするとき、
まず問題になるのが「誰が書いたのか分からない」という点です。
このような場合に、プロバイダやSNS事業者などに対して
投稿者に関する情報の開示を求める手続が「発信者情報開示請求」です。
(1)どのようなときに利用が検討されるか
発信者情報開示請求が問題となるのは、例えば次のようなケースです。
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匿名アカウントによる、会社・店舗・商品に関する虚偽の口コミや中傷投稿
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経営者・従業員個人の名誉やプライバシーを侵害する投稿
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顧客情報や営業秘密を含む情報の漏えい・暴露投稿
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画像・動画の無断公開により人格権・著作権が侵害されている場合 など
「単に気に入らない意見が書かれているだけ」では難しい場合もありますが、
一定程度の権利侵害が認められる内容であれば、発信者情報開示請求を検討する余地があります。
(2)発信者情報開示請求の目的
発信者情報開示請求は、それ自体がゴールではなく、
あくまで次のような目的のための「手段」です。
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投稿者に対する削除・謝罪・損害賠償請求を行うために、相手を特定する
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同様の行為の再発を防止するために、一定の責任を求める
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社内・株主・取引先等への説明に耐えうる形で、取った対策を示す
開示が認められれば、投稿者と交渉したり、必要に応じて訴訟を提起したりすることが可能になります。
(3)手続の大まかな流れ
具体的な進め方は事案や利用しているサービスによって異なりますが、
一般的には次のような流れになります。
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証拠の確保
投稿のスクリーンショットの保存、URL・投稿日時・アカウント名の保存など、
後から内容を確認できる形で証拠を残します。 -
権利侵害の有無の検討
投稿内容が名誉毀損・プライバシー侵害・著作権侵害等開示請求を基礎づける権利侵害に当たるか、
表現の自由とのバランスも踏まえて検討します。 -
事業者への任意の削除依頼・情報提供依頼
SNS運営会社・掲示板管理者などに対し、ガイドラインや利用規約に基づき、
任意の削除や情報提供を求めることが有効なこともあります。 -
裁判手続による発信者情報開示請求
任意での対応が難しい場合には、裁判所の手続を利用し、
プロバイダや事業者に対して発信者情報の開示を求めます。 -
開示後の対応
開示された情報をもとに、発信者に対して
削除・謝罪・損害賠償等を求める交渉や訴訟提起を検討します。
ログ(接続記録など)は一定期間が経過すると消去されることが多いため、
発信者情報開示請求を検討する場合、時間との勝負になることが少なくありません。
(4)開示が認められない場合もあること
発信者情報開示請求は、申し立てれば必ず認められる手続ではありません。
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投稿内容に違法性が乏しい場合
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公共性・公益性の高い内容で、表現の自由が重視される場合
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事実に基づく正当な批判・評価と判断される場合
などには、開示が認められないこともあります。
そのため、
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どの投稿について開示を求めるのか
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どこまでの結果が期待できるのか
を事前に整理したうえで動くことが重要です。
(5)相談のタイミングと準備しておきたいこと
発信者情報開示請求を検討される場合には、次のようなタイミングでの相談をお勧めします。
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投稿を見つけて、具体的な不利益(売上低下・問い合わせ減少・社内への影響など)が心配なとき
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自社、従業員、ご自身、親族等の名誉・プライバシーに関わる内容だと感じたとき
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従業員や取締役会、取引先から「何らかの対策が必要ではないか」と言われたとき
ご相談の際には、可能な範囲で
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投稿のスクリーンショット
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URL・投稿日時・アカウント名
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実際に生じている、あるいは想定される不利益の内容
などを整理しておくと、具体的な検討がしやすくなります。
6 当事務所のICT・インターネット関連サポート
当事務所では、次のようなICT・インターネット関連の法的問題について、
企業・個人の双方からご相談をお受けしています。
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SNS・掲示板等での誹謗中傷・風評被害に関する削除請求・発信者情報開示請求の検討
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Webサイト・アプリ・クラウドサービス等の利用規約・プライバシーポリシー作成・レビュー
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著作権・商標権等、コンテンツ利用をめぐる紛争・予防策
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個人情報・顧客情報の取り扱いに関するルール整備・社内研修
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従業員のSNS利用・情報管理に関する社内ガイドラインの策定
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新しいITサービス・プラットフォーム事業の法的スキーム検討
「ネットに書かれてしまった」「ICTを使った新しいサービスを始めたい」
そのどちらの場合でも、
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何が法的に問題となりうるのか
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どこまでできて、どこから先は難しいのか
を整理したうえで、現実的な対応策をご提案します。